テレフォン人生相談 マドモアゼル愛先生

 みきっぺがマドモアゼル・愛さんを知ったことで思い出した、テレフォン人生相談。


あのですね、私が19歳でそば職人の修行をしていた店で、開店は10時なんですが、お客さんがボチボチ増え始めるのは実際11時頃で、10〜11時までは出前電話のラッシュなんですね。


出前要員の自分はこの1時間はフル稼働なんですが、だいたい11時前には店に帰ってきて来店のお客様ホール対応をするんですが、開店10時からかけてるラジオがですね、いつもニッポン放送に合わせていて、11時から始まるお馴染みのBGMがあるんですね。


それが“テレフォン人生相談”のミュージックで、今回調べて26年振りにはじめてタイトル名を知ったんですが、「またあした」というオリジナル曲なんですね〜


ラジオを聴いてる方なら一度は耳にしたことのある懐メロだと思います。


マドモアゼル愛さんはこのテレフォン人生相談で“心についてのエッセイリスト”の肩書きでアドバイザーをつとめていて、声は聞いたことがあるしマドモアゼル・愛という名前も占星術で有名で知っていましたが、YouTubeの動画で見たあの人がマドモアゼル・愛さんだとは露知らず。


そんなテレフォン人生相談。


この間、妻と晩酌をしながらYouTubeで聴いてたら、まあ良い意味で面白い。全部で14分弱でまとめられている相談内容が十人十色。


Googleでテレフォン人生相談を検索すると、やはり「やらせ」とか出てくるけれど、ひとつひとつの人生のケースとして聴いてみていることにしている。


一番聴いててスッキリして氣分が爽快するのは相談者の相談内容がそれほど酷くない内容で、ある程度解決して相談者がアドバイザーのアドバイスをしっかり聞いて理解して終わることだけれど、ほとんどがバカバカしい相談内容だったり、稚拙な相談だったり、怒りを覚える相談だったりして、案外そんな腹立つ話を求めてたりもする。


パーソナリティーは今井通子先生(泌尿器科医師・医学博士)が一番クールに相談者を詰めてて面白い。


マドモアゼル愛先生も的確なポイントで相談者にアドバイスをして、心についてのエッセイリストだけあって、相談者の心の内をはっきり突いてくる。


今日はパーソナリティが勝野洋さん、回答者はマドモアゼル愛さんの人生相談を紹介したいと思う。


これは誰もが非常にわかる話しだと思います。


老老介護に疲れ果てた相談者


勝野洋「今日はどんなご相談ですか?」


相談者「はい、私73歳で主人が78歳なんですけど、16年間介護しておりまして主人の、どういうのかな。自分の思い通りにならないとストレスが溜まりまして。主人に辛く当たるというのが悩みの種でして、大声で怒鳴ったり自分の思い通りにさせられないとイライラして主人を怒ってしまいますので、そういう自分をどうしたらうまくコントロール出来るのかなぁという相談です」


勝野洋「家族構成を教えて下さい」


相談者「私と主人と息子52歳です」


勝野洋「3人で暮らしてらっしゃる。息子さんはご結婚は?」


相談者「あ、しておりますけども。今、孫の就職でちょっと遠くに行きましたもので、お嫁さんがそちらにいっとりますもんで」


勝野洋「あ、奥さんは離れてらっしゃるのね?」


相談者「はい離れております。息子は私達と同居しております」


勝野洋「なるほど、それで今日のご相談内容なんですが…」


相談者「はい、私の介護疲れですね。結局は16年間、主人は脳出血で2回右も左も切れてまして、1回目で左半身不随、2回目で失語症、という重度の身体障害者になりまして、私ひとりで自宅介護しておりました。病院にも行っておりましたけどね。でも、もうとにかく早く家に帰って、人間らしい生活がさせてやりたかったもんで、とにかく家へ早く連れて帰って、とにかく私は一生懸命介護しておりましたけど、去年ぐらい前ですか、私の体重が激変しまして、54キロあったのが今41キロになりまして、やっぱり疲れるんですね身体が、すごく介護によって。それで股関節の手術も5年前にしました、私自身の。骨盤が減りまして。どうしても主人大きい人ですから、服の着せ替えとかなんかそういうベッドの移し替えとかそういう力仕事ですので。自分の夫によって自分に身体が悲鳴を上げてるわけですよね。だから、そのどういうのかなぁ、分かってもらえないかもわからないかも知れないけど介護によるストレスが主人に対していっちゃうわけですよね。どうしてこんなこと、なんべんもなんべんも同じこと言ってるのにわからないのー!とかいってすごく声が大きくなったり、怒鳴ったり、それがねぇ、もう私自身彼のことがよく分かるのに、なんでこんな辛い病氣を持った人になんで自分はこういう酷いことを言うんだろうって自分を責めちゃうんですよ」


勝野洋「はい」


相談者「はい、ほんでそういうのが情けなくって、自分も死にたいなぁって思うことが度々ありました。それで私の性格は潔癖症で、とにかく完全な介護がしてやりたいという性格なもんですから、ヘルパーさんとか介護士さんのやることが氣にいらないっていう感じなんですよ。だから私、家でデイサービスに行っておりますけど、帰って来ましたら徹底的な介護をするんですよ。だからもう自分の身体を酷使してるというのはわかるんですけど、ケアマネージャーさんも、あなた少し手抜いたら?って言われるんですけど、それが出来ないから苦労してるんです。だからなんとかそれを上手く乗り越えれるアドバイスを頂けたらと思います。」


勝野洋「それが今日のご相談内容ですね。」


相談者「はいそうです。」


勝野洋「わかりました。それではですね、今日はこちらに心についてのエッセイリストとしてお馴染みのマドモアゼル愛先生がいらっしゃいますので、お伺いしてみたいと思います。先生宜しくお願いします」


マドモアゼル愛「どうもこんにちは」


相談者「こんにちは、お願いします」


マドモアゼル愛「こちらこそどうぞ、えっとーでも結構深い問題だよね。やはりね」


相談者「もうね、長いとね、今までこんなこと言ったことないのにどうしてこういうことが口から出るんでしょうと。文句がぽんぽんぽんぽんと出ちゃうんですよね。だからもうあの、あなたいつまで生きるの?早く死んでよとかね、そういうこと言っちゃいけないと思っても、ついつい口から出ちゃうと、もう凄い自己嫌悪に陥っちゃって、もうなんてことを私は言うんやろと思って、この後で後悔して泣けて泣けて仕方がないんです」


マドモアゼル愛「もうねー、自分で自分を傷付けちゃうからね、でもね僕ね。仕方ないんじゃないかな?って思いがまず最初にあったんですよ。」


マドモアゼル愛「62で倒れてんだよね?今から」


相談者「はいそうです。」


マドモアゼル愛「まだ働き盛りのね、ていう時に倒れて、突然だった訳でしょ?しかもこういう…」


相談者「ええ、突然でした」


マドモアゼル愛「ね。奥さんがまだ50代の時だよね」


相談者「はい、そうでした」


マドモアゼル愛「ねー。またこれから2人で、それこそ…」


相談者「もう何もいいこと無くて…」


マドモアゼル愛「楽しんでいこうと…」


相談者「もう介護に没頭しておりました。」


マドモアゼル愛「だから、今のことはちょっと置いておいてね。凄く一生懸命やったんじゃないかっていう思いがまずあるんですよ」


相談者「そうです。胃潰瘍なんか10回やりました」


マドモアゼル愛「うん。それで、しかもよ。54キロあった体がやっぱり41になっちゃうというと、これはドクターストップの状態だって思うのね。誰が見ても、うん。だから十分やったって認識をまず持った方がいいと思うんですよ。」


相談者「あー、そうですか。まだまだ私は、あーこの人死ぬまでは駄目だ、頑張らなくっちゃ!と思って、うーん心に決めてますけど」


マドモアゼル愛「その氣持ちは絶対に旦那様に伝わってると思うのね」


相談者「ええそうです。彼もね、私がガンガン怒るでしょ。そうすると以前はあの怒って来よったんですけど、今は黙って聞いてますから。あー分かってるんだ、私が早く死んで!っていう言葉を言っちゃいけないのに、彼に言っちゃったから彼は早く死にたいとそう思ってるんだろなぁと思うと、情けなくなっちゃって…」


マドモアゼル愛「でもね、それも悲しい話だけど、でもそれだけじゃなくて。奥様が追い詰められていってることとか、50代の時のその体力とね、今70代の体力が違うことは旦那さんが見ててもわかるわけなんですよ。だから決して言葉だけに反応して、その大人しくなった訳ではなくてね、奥様の思いは旦那様にかなり相当色んな意味で伝わってるって考えて僕はみていいと思うんですよ」


相談者「はい、本人もわかってると思います」


マドモアゼル愛「わかってると思います。だから、どうなんでしょうかね。その旦那様が求めてるのは果たして完璧な介護であるかどうかっていうことだと思うんですよ」


相談者「はぁぁ…」


マドモアゼル愛「手を抜いても、そこになんか代わりに笑顔があるかとか。そういうことの方がきっとまた話し相手にになってくれるとかね。それから昔の話を奥様を思い出すように色んな事を語ってくれるとか。介護忘れても、多少手落ちがあってもね、そういう方が本当は幸せなのかもしれないし」


相談者「はぁ」


マドモアゼル愛「だから旦那さんが求めてるのは奥様の完璧な介護。これに関しての信頼は、十何年でもう培っていますのでね。こいつが手抜きする女だなっていう決して思ってませんよ。」


相談者「でもね、潔癖症なもんでね。綺麗にしてあげたい、綺麗にしてあげたいというそればっかしで。」


マドモアゼル愛「白旗は周りじゃなくて、旦那さんに私もこれ以上できないけれども、一緒にずっといるよっていうサインがもし与えることができたらね。旦那さんは全然許容量が広くなって、そばにいてくれるだけでも嬉しいっていうそういう新しい関係になっていけるような氣がするんですよ」


相談者「はい」


マドモアゼル愛「年とっていったのは旦那さんだけじゃなくてご自身、奥様も同じように旦那さんと一緒に歳とってきたんですよ。この16年ね。それで前できたことはやっぱりできなくなってきた。」


相談者「そうなんです。」


マドモアゼル愛「でも一番大事な仕事っていうか喜びはやっぱり一緒にいることだと思うのね。それ、旦那さんが求めてんのは間違いなく、それですよやっぱり。」


相談者「そうなんです。」


マドモアゼル愛「うん。だからあの、白旗上げて体力的にはもうこれ無理だから、この部分はこうやってこれからやってもらおうねと。その代わりに私はずっとあなたと一緒にいるよっていう形が作れたらね、お互いにとってやっぱり良い方向な氣がするんだよね。そこら辺、介護の専門の人と相談してみればね、やっぱりいいアイデアは出てくると思う。介護で問題になるのは、介護する氣がなくて仕方なくやるっていうような悲しい状況の場合もあるのと思うんだよね。あの例えば血の繋がってないお姑さんを一生懸命やって、本当に体を壊していく、あのーお嫁さんだっているじゃないですか。」


相談者「そうです、そうです」


マドモアゼル愛「ね。あの、それはそれで立派なことだし。大変なことだと思うけれども、少なくとも今、お二人の場合は五十年を共にした心、触れ合うね。だからこそ極限状態になったら、大声も出すしっていうことは、許容範囲の中に僕はあると思います。」


相談者「はい」


マドモアゼル愛「そしてそれを旦那様は、当然のこととして話しながらも受け止めていると、それは一緒にいたいからなのよ」


相談者「そうです。分かります」


マドモアゼル愛「僕はその思いだけを、まず大事にして、あとはもう負担のない形を求めていくっていう形にやっぱり僕、切り替えていくサインがね、体の面でも体重の面でも、それから感情の面でも出てきているので、そうした方がいいと思う。そうすると奥様の中にはね、やっぱりどっか真面目な方ですから、負い目が出てくると思うのよ。」


相談者「はい、そうなんです!今も負い目を感じてます」


マドモアゼル愛「しかし僕はね、こう思うんです。神様が喜ぶ事っていうのが、言葉が昔あってね。私たちの人間の中には神と悪魔が住んでいるっていうんですよ。それで神はどういう面かって言うと例えば貧しい時に子供に何か買ってあげたい。でも千円のものしか買ってあげられなかった時、ごめんね千円のものしか買ってあげられなかったと思う。悔いを思いつつ生きていくのが神の部分だって言うんですよ。」


相談者「ああ!」


マドモアゼル愛「じゃあ、逆に悪魔の部分は何かっていうと1万円のものも買ってあげたのにって思うのが人間の悪魔の部分だって言うんですよ。」


相談者「ああ!そうですね!」


マドモアゼル愛「だからここは無理をしないで、あなた本当は私会いたいけどできなくて、真面目な人ですからごめんねっていうのは思いをもって。」


相談者「私ね。いつもね、大声で怒鳴ったり、あのぉ、おしりをパチッと叩いたりしちゃう時があるんですよ。その時ね、あー怒っちゃったね。ごめんねってギューって抱きしめてあげるんですよ」


マドモアゼル愛「ねぇ。愛情は伝わってますよ、本当の愛情が伝わってますよ、本当に」


相談者「もう本当に自分が情けなくって、どうしたら自分はもうちょっと優しくなれるんだろうと思って…」


マドモアゼル愛「でも、そこまでさ。こういう状況に至ってさらけ出せることが出来たのも、旦那様あっての関係だからなんだよね」


相談者「そうなんです!すごい主人に感謝しております!」


マドモアゼル愛「それは旦那様にとっては、悲しい反面、僕はある意味でも喜びだと思うよ。それで、本氣でやろうとしてるからじゃない?」


相談者「そうなんです」


マドモアゼル愛「ね。もう十分伝わってますよ」


相談者「そうですか」


マドモアゼル愛「だからここは、やっぱり楽して下さい。それでちょっと負い目ある、その負い目をごめんねって思いにしていけば、2人は本当に良い時間を持てると思いますよ、僕」


相談者「ああそうですか。ついつい怒っちゃってごめんねとかいってすぐ謝るんですけど、そういう自分が許せなくて…」


マドモアゼル愛「うーん、でもいいよ。あの素晴らしい旦那さんはわかってますね。間違いなくね」


相談者「そうでしょうか。ありがとうございます!もう、なんか人に聞いてもらいたくて。自分がどうしたら変えられるんかって今日電話しました」


マドモアゼル愛「僕は奥様が変わられる必要はないってことでね、アドバイスさせて頂きました」


相談者「ありがとうございます。」


勝野洋「宜しいでしょうか。」


相談者「はい、ありがとうございます」


勝野洋「私も一言宜しいでしょうか。先生言われたように、手抜いてもいいと思います。やっぱりご主人が一番心配するのは、あなたがそういって体重を落としていって身体を悪くすることを心配してますから」


相談者「はい」


勝野洋「で。いつまでも自分はこういう風に倒れたけど、あなたにはいつまでも元氣でいて欲しいという思いで見ていると思いますよ」


相談者「はい、私もほんでね。主人にいつも一緒にいるからね。一緒にいるから、いつでも口に出して言うんですけど、荒い言葉出すのが自分に耐えられないなぁということを…」


勝野洋「それはもうあの。ある意味あなたの魅力ですよ。」


相談者「そうでしょうか」


勝野洋「はい。耐えられないんじゃなくて、僕は聞いてて素晴らしいご夫婦だと思いました」


相談者「あっそうですか」


勝野洋「はい、色んなご夫婦の形がありますけども、あなたはあなたのご夫婦のね、形があるわけですから。そしてあの例えばね、結婚されて50何年とか言われましたよね。あの頃はこうだったねとかね。そこに1回戻って、そこからずーっとこう2人の時間を共有して語るんですよ。そうすると氣持ちも若くなるし、ご主人の好きな音楽をかけたりとかね」


相談者「はい」


勝野洋「ね。死にたいとかなんとか言わないであなたはすごい、まぁもの凄い良い結婚生活を送ってらっしゃると思いますよ」


相談者「はい。主人にはもの凄く感謝しておりまして」


勝野洋「ご主人の目の奥をジーッと見ていて、あなた抱きしめると言われましたよね?」


相談者「はい」


勝野洋「これはすごいいいことなんですよ」


相談者「あっそうですか」


勝野洋「ええ」


相談者「私があまりにも酷いことを言った時には、後悔の念で抱きしめるんです」


勝野洋「いやー、何度でも抱きしめてあげて下さい。もう是非おすすめします」


相談者「あ、はい!ありがとうございます」


勝野洋「これで宜しいでしょうか?」


相談者「はい!ありがとうございました!」


勝野洋「じゃあ、前向きに、失礼致します」


相談者「はい」


勝野洋「どうも」


自宅介護を軽く考えてはいけない


介護・看病疲れによる殺人や自殺は他人事ではない。


もし愛する家族が相談者のように動けなくなったり、酷い認知症で介護しなければなくなった時、家族の生計は一体どう立てるか?


四六時中、付きっきりで介護をするということは仕事を辞めることを覚悟しなければならない。


ある程度年金で生活出来る方々は経済的に切り詰めてでも、在宅介護に集中出来るかも知れない。


でなければ、有料介護サービスに頼らざるを得なくなってくる。


相談者の方が言うように完璧な介護をするには家族が介護するのが一番なのは悲しいかな事実ではある。


しかし完璧な介護は素人がするには疲弊するだけでしかなく、家族が介護に疲れて、体力と精神状態が極限までに追い込まれる前にやはりプロに相談するべきだと私は思う。


そして利用される家族の方々が介護サービスに対して完璧な介護を求めるのは理解出来るけれど、ある程度は妥協されるべきだとも思う。


高齢者だからではなく、若くても病氣で半身不随になったりするのだから、介護する側だけではなく介護される側にもなるかも知れない、いざ自分の身にふりかかる問題と誰もが考えるべきことだろう。

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